調 査 速 報
射水市南太閤山T遺跡(令和3年11月)


南太閤山T遺跡では、大量のオニグルミの殻とそれらを割るために使用したと考えられる石の道具(叩き石・凹み石)が出土しています。縄文人がどのようにして硬いクルミを割っていたのかを探るため、当時と同じような道具を使い、現生のオニグルミを割る実験を行っています。まだ実験の途中ですが、クルミを水漬けにしたり加熱処理を施したりすると、割れ易さが違ってくることが分かってきました。また、打点を変えることでも割れ方の傾向に違いがあるようです。実験で得られた結果と出土した破片の形状などを比較し、分析を進める予定です。
高岡市中曽根遺跡(令和3年11月)

報告書に掲載する出土遺物の写真撮影を行っています。ストロボの光量や反射板などを調整し、鮮明な写真になるように努めています。出土遺物は実測図も掲載していますが、その立体感や表面の質感・色味などを伝えるには写真が適しています

射水市南太閤山T遺跡(令和3年10月)



南太閤山T遺跡はクルミがたくさんみつかったことで有名ですが、実はクリも多くみつかっています。残念ながら完全な形ではみつかっていませんが外側の果皮の破片は多くみられます。これは南太閤山T遺跡にいた縄文人が果皮を石器などで割って中身の子葉(しよう)を取り出して食べていたことをうかがわせます。子葉は真っ黒に炭化してみつかっています。これらは縄文人が食べ残したものか貯蔵していたものかもしれません。クリの大きさは現在のものと比べるとかなり小さいことがわかります。遺跡の時期が縄文時代でも前期前半と古い時期にあたるためか、青森県三内丸山遺跡などほかの遺跡と比べても小さいようです。けれども大量にみつかっているクリは南太閤山T遺跡の縄文人にとって、クルミ同様に大事な食料源であったのでしょう。
高岡市中曽根遺跡(令和3年10月)
出土した銅銭のなかには8枚が重なったまま錆び付き、銭貨名が確認できなかったものがありました。そこで、X線CT撮影を県産業技術研究開発センターに依頼しました。「元」と「豊?」の文字が確認され、「元豊通寶」(初鋳年1078年)の可能性があります。このことから少なくとも中世のものであることが分かりました。こうした方法以外にも、出土品の同定や年代測定などは様々な自然科学的な方法を用いて検討を進めています。

射水市南太閤山T遺跡(令和3年9月)
 




南太閤山T遺跡からは縄文時代の遺跡ではおなじみの縄文土器のほかに石製品、漆製品、木製品、種実、骨などたくさんの種類の遺物がみつかっています。これらの詳細な分析の一部については専門的な知識や技術に通じた研究者の方々の力をお借りしています。研究者の方々には財団事務所にて試料の採取や鑑定を行ってもらいました。これらは遺跡のあり方を考えていく上でたいへん重要な情報となります。分析の結果が楽しみです。

高岡市中曽根遺跡(令和3年9月)

デジタルトレース作業を進めています。手描きで作成した図面をグラフィックソフトでトレースし、報告書の印刷用原稿にしています。以前は製図用のインクペンを使っていたため、一度トレースすると修正の難しい一発勝負的な緊張感溢れる作業でした。デジタルトレースでは修正や加工もし易く、均一な線で仕上げることが可能で、効率的に作業を進められます。


射水市南太閤山T遺跡(令和3年8月)




先月に引き続き遺物を選別しています。今回はもっとも多くみつかっているクルミについて解説します。南太閤山T遺跡からみつかったクルミはオニグルミです。これらの多くは縄文人が石を使って叩き、中身を取り出した痕跡を残しています。まったく割れていないものはサイズが小さく、食用に適さずに捨てられたのかもしれません。なかには、ネズミによって食べられたものもあります。このほかに半分に割れたクルミの先端に穴をあけているものがあります。ひもなどを通して首飾りとしたのでしょうか。”クルミ愛”を感じる品です。
 高岡市中曽根遺跡(令和3年8月)

土器の復元作業を進めています。遺跡から見つかる土器のほとんどは割れた状態で、つなぎ合わせても欠けている部分が多くあります。そうした欠損部分に石こうを入れて補強するとともに、元の形状に復元します。

 射水市南太閤山T遺跡(令和3年7月)




先月で終了した遺跡土壌の洗浄によって発生した遺物を選別しています。石や木などの自然物や土器や石器などの人工物が多く見つかっています。自然物で目につくのはクルミやヒシなどの種実です。これらは割れていて、南太閤山T遺跡の縄文人が殻を割って中身を取り出した様子がよくわかります。人工物は出土地点の注記を行っています。
 高岡市中曽根遺跡(令和3年7月)

出土遺物を図化する作業の一つとして拓本を取っています。拓本は墨を用いて文様などを紙(画仙紙)に写し取る方法です。これにより、線で描いた図面では表現しづらい土器表面の文様などが判りやすくなります。

 射水市南太閤山T遺跡(令和3年6月)




射水市南太閤山T遺跡は縄文時代前期前半の低湿地遺跡です。昨年度現地で採取した土壌(土のう約10,000袋)の洗浄が終わりました。雨の日も暑い日も作業員さんが頑張ってくれました。これから乾燥し、内容物を精査・選別して遺物を探していきます。すでにいくつかの”お宝”がみつかっています。今後が楽しみです。
 高岡市中曽根遺跡(令和3年6月)

令和元年・2年度の発掘調査成果をまとめて報告書を刊行するための整理作業を行っています。現在は出土した弥生土器・珠洲・中国製磁器・国産陶磁器など多様な遺物を図化するための実測作業中です。